我谷盆(わがたぼん)とは
石川県、江沼郡、菅谷と九谷の中間(現 加賀市)で、山中温泉よりの谷あいにある我谷村(わがたむら)で、江戸時代初期以来、生活具として作られた木地盆である。
材はこの村に多くとれた栗をもちいており、丸太を輪切りにするという素朴な製法により、同寸法の盆は二つとないと言われている。
この盆の特色は一枚板からのみで縁まわりをくり出し、見込には丸のみの平行線を鮮明に刻みつけているところにある。これが素朴であるが実に美しい装飾となっている。
しかし、我谷村(わがたにむら)は昭和三十三年ダム建設のため水没したことは惜しまれる。
著者 瀬良陽介 「盆百選」(平安堂書店)より抜粋